雨音・時に愛は2






 あかねの頭は混乱していた。

 どうして頼久がここにいるのか。
 どうして頼久が自分にこんなことをするのか。
 何より頼久が何も言葉を発しないことにあかねの頭は混乱していた・・・


 どうして?どうしてなの?
 こんなの頼久さんじゃない、いつもの頼久さんじゃないよ。一体どうしちゃったの?好きだけど、大好きな人だけど、こんなのやだ、嫌だ。
 ずっとずっと好きだった、いつも触れたいって思ってた、触れられたいって思ってた・・・でも、違うっ。こんなの違うんだから。こんなの絶対に嫌なんだからっ。


 ・・・やめてよ、もうやめてよ頼久さん、お願い・・・

「もうやめてっ!」


 体中で叫びながら頼久を睨み付けた。
 いきなり自分を拘束していた大きな力が抜けていくのがわかる。

 頼久さん?

 声をかけようとした瞬間、髪をきつく掴まれ顔を上にあげさせられる。

「頼久さんっ、どうしてなの?ねえ教えてよ」

 あかねの言葉に無言のまま冷笑を浮かべる頼久に恐怖すら感じ身体が震えだした。

「や、やだ・・・・・・やめてください」
「どうされました神子殿、お声が震えておりますが」

 頼久は平然とあかねの耳元へ囁くと、その愛らしい耳たぶを軽く噛んだ。

「あっ、やめてくださ、い・・・」

 突然の出来事にさらに声が震える。頼久はそんなあかねの耳をさらに嬲りながらも平然と続けた。

「感じてしまわれたのですか?そんな声を出して・・・やはり貴女は本当に罪なお方です」

 感じているだなんて・・・

「ちっ違いますっ。離してください。お願い離して!」
「・・・残念ですが、できかねます」

 あかねの耳への愛撫を続けたまま即答する。
 耳にかかる熱い息、ねっとりとした舌、ジュルッ、という唾液の音があかねの身体の芯まで響く。朦朧としそうな意識をかろうじて支えているのは羞恥心と、そしてあかねの心の片隅に芽生えはじめた憎しみだった。

「イヤッ、嫌です、やめてよ、離してっ。こんなの嫌ですっ」

 涙がにじんだ---

 泣いてはいけない。泣かない。
そう思ってもあかねの意思とは裏腹に、瞳は涙で濡れそぼり今にも零れ落ちそうになっている。



 神子殿・・・。
 
 そのような泣き顔がどれほど男を惹きつけるのか、この愛しき人はまるでわかっていない。
 私は貴女を心から愛しいと思っています。しかし、あなたは何もわかっていらっしゃらない、何ひとつ。

「あなたは御自分のことを何もわかっていませんね」

 それまでゆっくりと舐めていた耳を思わずきつく噛む。

「うっ」

 限界だった。あかねの瞳の堤防は崩れ涙が際限なくこぼれ落ちる。

「お願いです、もう許してください、私を離して・・・」

 瞬間、頼久の顔が苦しげに歪む、しかし己の情を振り払うかのように

「できかねますと言ったはずです」

 大声で叫ぶとあかねの両肩に手をかけ身体ごと床におしつけた。


 乱暴に夜着に手をかけ、すぐさまあかねは裸同然の姿にさせられる。
 雨で月明かりもない闇の中でもあかねの裸体は雪のように白く美しく頼久の目に映り、その清らかな体を汚したい欲望に駆られた。

 頼久はあかねに自分の体重をかけ、身体の動きを封じ荒々しい仕草で目の前にある二つのふくらみを揉みしだいた。

「やっ、痛っ」

 大きな手の中にすっぽりとおさまる両のふくらみを大きく円を描くように撫でまわす。
頼久の節くれ立った指が少しずつ内側に移動し微かにその頂点をかすめ、次の瞬間には頼久の親指が両の頂点をギュっと押しつぶした。

「あっ、やっ、やめて・・・」

 頼久は聞こえないとばかりに、あかねの声には応えようとはしない。
 
 指先に触れる尖りに、さらに人差し指を添えてキュッと音がしそうなほど摘みあげ、こねくりまわす。

「っ・・・」

 頼久のその行為に、あかねは思わず声をあげそうになり、必死で唇を噛み締めた。

 頼久はそれまで自身の指で弄んでいた場所へ唇を這わすと、まるで自分の所有物であることを示すかのように、赤い刻印を咲かせていく。赤い花は、首筋に胸に、あかねの身体中に咲き乱れる。
 頼久の舌は休むことを知らず、熱い息を洩らしながら、すでに硬くなっている胸の突起をじらすように舌でころがした。
 両手は脇腹をつたい腰を撫で回しながら、徐々に指をあかねの秘所に近づけ、下着の上から割れ目にそって、つーっと指でなであげる。

「あっ、ダメっ、ダメです、やだ」
「何が駄目なのですか神子殿、こちらはもうすでに粗相をしたようですのに」

「ほら、このように・・・」あかねの耳を甘噛みしながら囁く。
 無論、頼久にもそれがあかねの悦びのせいだけではないことはわかっていた。けれど・・・それでもどんなかたちであろうと自分があかねを濡らしていることが嬉しい。下着の端から長い指を差し込むと、くちゅくちゅっ、と淫らな音をわざと響かせた。その音に笑みさえ浮かべそうになった瞬間、いきなり大きな力で頼久は拒絶された。


「もう・・・もう、やめてよっ!!」



 あかねは己の精一杯の力を込めて頼久の身体を突き飛ばした。

 一瞬の沈黙。束の間の自由。
 頼久の顔がこわばる、だがすぐに、逃げ出そうとするあかねの足首を簡単につかみあげた。

「逃げられるとでも思われですか?」

 それでももがき続けるあかねの身体を引き摺り、片手で両手首をつかむと
それを頭の上に高々と押し上げる。

「神子殿・・・この頼久からお逃げになるのですかっ!」

 怒声と共に一気にあかねの下着がおろされた。
 頼久は手首をつかんだまま、自らの足であかねの脚を開かせる。長身の頼久には簡単なことであった。
もう一方の手は、今や何も隠すものがなくなった秘所を人差し指と薬指とで大きく広げ、中指を濡れそぼる壺の中へと少しずつ差し込んでいった。

「ひっ・・・や、いや・・・」

 ヌプっと音をあげながらもあかねのそこは初めての挿入物を押し返そうと頼久の指を締める。

「きついですね、でもしばし我慢していただきます」

 冷笑をたたえたまま頼久は言うと、今度は一気に奥まで指を突き上げる。

「お願いだからやめてっ、いっ痛いっ」

 思わずあかねは悲鳴をあげる。が、指の動きは一向に変わらずその力を増すばかりである。





 頼久さん、本当に頼久さんなの?
 何故?何故こんな酷いこと・・・
 信じられない。でも・・・あなたは頼久さんだよね。
 
 私、あなたに何か悪いことした?ねえ、お願い何か言って・・・何か言ってよ







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