Yes - あなたに罪を - [2]




 身体が熱い。
 鼓動を刻むリズムと同時で身体の芯に甘い痺れがこみあげる。
 お父様のせいだ。お父様の魔法のせいなんだ。

 --- じゃあ始めようか

 お父様がそう告げた瞬間から私の身体に異変が始まった。
 お父様がきっと、魔法を…






 ロキが木に寄りかかり、腕を組む。一瞬ぼんやりと考えるように空を見上げる。
 そうだな…

「とりあえず立って」

 到底、それが名案だとは思えない表情のロキ。
 よろよろと立ち上がるヘルの唇にはまだ薄っすらと血が滲んでいた。

「脱いで」
「でも…」

 ヘルの瞳が左右へと泳ぐ。

 ここは作られた空間。
 自分たち以外の誰ひとりいやしない場所だとわかっている。そうだ、ここには二人しかいない。けれど白昼の輝く太陽の下で服を脱ぐという行為は、ヘルにとってやはり戸惑ってしまうことに違いなかった。

 その一方で、身体の芯に熱があることを自分でも否定できない。ヘルはそれをロキに知られることが恥ずかしかった。

 恥ずかしそうにチラチラと自分を見て、服に手をかけてはまた元に戻す。
そんなことを何度も繰り返しているヘルに向かって、ロキは一歩踏み出した。

 こうしてヘルの間近に迫ったロキは、おもむろにヘルの腕を掴み、もう片方の手をうなじに回すと、その身体を自分へと抱き寄せてヘルの耳元に顔を寄せた。そしてまるで内緒話のように囁く。

「…したいんでしょう?」

 呪文のようなロキの声に、ヘルは思わずこくりと肯きそうになる自分に慌て、ぶるぶると首を大きく振る。

「そっ、そんなことない」

 ヘルの声が響く。既に顔は真っ赤になっていて、その全てで自分の言葉を否定していることも気付いてはいない。

「ふうん、そうなんだ」

 ロキにすれば、ヘルの言葉と態度の違いが面白くて仕方ない。悪戯心からか、ロキはヘルの耳から頬、顎へと唇を移動させた。

「っ、んっ」

 ヘルの反応を確かめるように、再び耳元へ戻り、真っ紅に染まったヘルの耳朶を愛撫するように挟み込む。
 同時に、背後に回った指先がスカートを少しずつたくし上げ、ゆっくりと臀部を丸く撫でるように触る。

「んっ…」

 ヘルが思わずあげてしまった声と同時にロキの指先は足と足との小さな隙間に滑り込んだ。

「ここ、もう我慢できないんじゃないの?」
「あ……ッ」

 下着越しに指をきつく埋め込むと、湿った布地と、その内側に満ちたヌルリとした感触が伝わってくる。

「っ、あっ、やっっ」
「ほら」
「いやっ、違うっ」

 嫌、と言いつつも抵抗をしようとはしないヘルのスカートのジッパーに、ロキの指がかかり、ジーっという音を立てながらゆっくりと下に降ろされてゆく。

「何が違うのさ?」
「だって…それは、それは…」
「ん?それはなあに?」

 ヘルに合わせるように受け答えながらも、ロキは徐々に中腰になると、ヘルのスカートと下着を一気に下まで降ろした。
辺りにバサバサっと大きな音が響く。その時、まるで初めて気が付いたようにヘルはたじろぐ。

「やッ、やだっ、やめて」
「ほら、早く足抜いて」
「嫌っ」

 ヘルの抵抗も、ロキはまったく意に介さない。仕方ないなぁ、とヘルの足先から片方ずつ衣類を抜き去ってゆく。

 「へえ、ふふっ」

 鼻で笑いながらヘルの既に何ひとつ隠すもののなくなった場所を見つめる。
そこはロキの思った通りにぐじゅぐじゅに濡れ光っていた。

「ふうん…すごいね…ここ」
「っ…それは…違うっ」

 泣き出しそうなヘルの声など、ロキはまったく気にせずにヘルの秘所をじっと見つめている。

「ねえ、ヘル、こういうの何て言うか知ってる?」
「……」
「視姦」
「え…」
「だから…し、か、ん」

 ロキの思いがけない発言にヘルは激しく反応した。ロキに身体を押さえられたままその手の中でバタバタと暴れては激しく叫んだ。

「そんなのやだっ。見ないで。違う、違うッ」
「嫌なの?こんなに感じてるくせに」
「やっ。そんなことないっッ」

 腰を掴むロキの手から逃れるように何度も身体を捻る。だがロキの手は微動だにしない。それだけでなく逆に、ロキはヘルの腰をしっかり掴み直すと、片方の手をヘルの中心へと伸ばした。指先にヘルを感じる。

「ねえ、ここすごいことになってる。ほら、ヌルヌルだよ。いつからこんなに濡らしてたの?もしかして僕に視姦されて感じちゃったとか?」

 蜜が溢れる秘所に手を触れたロキは、蜜を拭い取るように中心にぬるりと指を一度往復させた。

「はぁっ、っ」

 ヘルの口元から漏れ出る吐息にロキは満足気な声で続ける。

「見られてるだけで、こんなにしちゃうの?」
「違う、違うっ、これはっ…お父様が」

 違う違うと、同じ言葉ばかり繰り返しながら、ヘルは眦を紅く染め、とろけそうな視線でロキを見つめていた。

「さっきからそればっかり。何が違うの?」
「だって…これはさっきお父様が、魔法を…私に…」
「魔法?魔法なんて使うわけないじゃない」
「で、でもっ、私…身体…変なのっ、あっ熱いの」
「こことか?」

 変なの、と、後ずさりしようとするヘル。その身体の芯に支えを立てるかのように、ロキの指がクチュっと一気に埋め込まれる。

「ああっ!…はあッ…うっ」
「確かに熱いね」

 ロキは話しかけながらも指の動きを止めない。
 ヘルを立たせたまま、ぐちゅぐちゅと音を立てて突き上げる。上下に動くロキの指を伝ってヘルの太腿にまでも蜜が垂れていた。

「だめっ、んッ、ああっ…いやぁっ」
「いやらしい身体だね、でもちっとも変じゃないよ、だっていつもと一緒じゃない。いつも腰振ってねだってくるのはどこの誰?」

 違う、違う、原因はお父様なのにっ、お父様のせいで身体が変になってしまっているのに…なのに、耳元で囁かれる度に身体が反応してしまう。後から後から溢れ出す淫らな熱をどうしていいかわからない。

「それって、淫乱すぎるよ、ヘル」

 身体が溶けて無くなってしまいそうなくらいに昂ぶって、溢れるその場所は、幾度突き上げられても、まだ足りないと次の刺激を求めて泣く。…こんなの私じゃない、お父様のせいなのに。

 ニヤリと笑ったロキが指を二本に増やし、同時に親指の爪先で尖りを軽く掻く。

「あんっ…くはぁぁ」

 短く叫んだヘルは、両手でロキのシャツを掴みながら首を大きく仰け反らせた。声を抑えようとしても無駄だった。

「ああんっ…いっいやぁ…あっ」
「ヘル、これじゃ足りないでしょう?もっと欲しいよね?」

 ロキがヘルの耳元に顔を寄せる。

…上手におねだりできたら、気持ちいいこといっぱいしてあげるよ…

 崩れ落ちそうな細い腰を支えながら、ロキが焦らすようゆるゆると指を動かす。ぬちゅっ、くちゅっ、と淫らな音がする度に、ヘルは無意識のうちにロキの指先が奥の方まで当たるようにと、自らの身体をぐいぐいと押し付けた。

「ヘル、おねだりもできないなんて虫が良すぎるよ。ほら早く、我慢のできない、いやらしい穴にたっぷり注いでください、でしょう?」
「やぁっ…も、お願いっ」

 露骨な表現に体の芯がキュンと疼く。
 嫌だと思っても、ロキの声に、もう抵抗する気力を持てない。
 ヘルはただ達したいという感覚のみに思考が支配されているようだった。肝心の刺激を与えてくれはしないロキを憎んでしまいそうなほどに。

「違うでしょ。ちゃんと言えないならこのままにして抜いちゃうよ」
「あっ、だめっ、だめっ、抜いちゃいやっあぁっ」

 緩慢な動きを続けていた指を引き抜いてヘルの花弁をちろちろと探るように弄る。その手はヘルの流した愛液にまみれ光り、指先についた液は既に白く泡立ったようになっている。

「はぁっ、んっ…っ」

 ヘルは必死で再度、ロキの指を呑み込もうと腰を動かしてみるが、ロキはそれを見越したように寸でのところで、ひょいと逃げる。

「そんなことするより、早くおねだりしてごらん。ちゃんと言えたら、その、おもらししちゃったようなびしょびしょの恥ずかしい穴に、いっぱい、注いであげるよ」

 何度も何度もそんなことが繰り返された。
 いきそうになると指を止められ、覚醒させるかのようにギュっと乳首を捻られる。
 その痛みに声をあげるヘルに対してロキは、今さっき自分が痛みを与えた場所を今度は、労わるように、優しく口に含む。
 快感の全てをロキにコントロールされたヘルの身体はとうに限界を超えた。

 もう何も考えたくない。ロキが欲しい、お父様が欲しい。

 ヘルは気がつけばロキの言うとおり、いやらしい言葉でおねだりをしてした。
 ……いつも通りに。

「お、お願いっ…します・…いっ、いやらし、い…ヘルの、あ、穴の中っ、いっ、いっぱいにして、っく、ください。奥…、奥まで、いっ…いじっ…ってくだ、さっ…」
 
 言いながらヘルが涙を流す。噛み合わない歯をカチカチと鳴らして震えていた。
 上手く息継ぎができないのか、途切れ途切れの言葉の合間に、喉をヒューヒューと鳴らす。

それでも最後まで言い終わると、ヘルはロキに縋りつくように、ロキの胸に手を伸ばすと、そこへ額を擦りつけた。






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