50 TITLES(01〜10)



01 横断歩道


家までの、4つの横断歩道。
白い線の上だけを選んで歩いた私に、不思議そうな顔をするから
そのほうが何となく、いいことがありそうな気がするじゃない?と言ったら

「へえ。そんなものですか・・・でも、隣は黒ですよ?並んでいますよ?」

・・・だって。

もう、だから白がいいのに。

---わかっているのか、いないのか。



02 エレベーター


思っているだけでは、いけないのだ。
ちゃんと、声に出して言わなければ。

「8階をお願いいたします」

この前も黙っていたら、子供服の売り場で下ろされてしまった。


けれど、あなたには。
何度言っても足りなくて、伝えきれない。


ああ、もう。
あなたさえいれば、それで、いい。



03 踏切


「それではここで。また明日、迎えにまいります」
「もうちょっとだけ、駄目?」
「もう少しですか?」
「うん、まだ早いしさ」
「ですが、ご家族がご心配なされますので」
「はぁーー」
「また明日、会いましょう、あかね殿」
「頼久さんは私と一緒にいたくないの?」
「そ、そんなことは断じて」
「だったら、もう少し一緒にいようよ」
「それは、その、私とて」
「だったら」
「ですが」
「もう、いっつもそうなんだから」
「あ、あかね殿、私は、その、あかね殿が」
「私が心配だって言うんでしょう?」
「・・・・はい」
「明日、絶対だよ」
「はい、必ず」
「じゃあ、あと2本、電車が通ったらおとなしく帰る」



----踏切が無かったら、私たちは別れられないかもしれない。



04 煙草


「おかえり」
「ただいま帰りました」

頼久と一緒にドアから入り込む煙草の匂い。
煙草を吸うことのない頼久が、一日、包まれていただろう匂い。

働いている人なのだな、と思う。
闘っている人なのだな、と思う。

この人のお嫁さんになったのだな、と思う。



05 手袋

着用前・・・冷たくて気持ちいい手。
着用後・・・暖かくて気持ちいい手。



06 呼ばれ方

「ん?なあに?」


あかね殿は、人の心が読めるのだろうか?



07 匂い

赤子の匂い。

「これ・・・」


ホットミルクにお砂糖をたっぷり入れたものを飲みながら
頼久は、あかねを見つめる。


「これは何ですか?あかね殿の匂いによく似ています」


むん、とする甘いミルクの匂い。赤子の匂い。


---だとしたら、赤子に抱かれて眠るなんておかしい男だ。



08 カイダン

ち よ こ れ い と

ぱ い な つ ぷ る

ぐ り こ の お ま け




---どれも知らないんだって。




早く上がっておいで、何も知らなくていいからさ。
ほら、ここまでおいでよ。



09 詐欺

「もう二度と人前で愛してるだなんて言いませんから、
それに、あなたの後を付けたりもしません。
だからどうか、これからもお傍にいさせてください」

これが守れないのは、わざとじゃあないんだろう。



10 貴方という人

その気になったら知らん顔。

ああ、もうっ。


---慣れるとはいうけれど。



11〜20



50のお題は『空に光の雨霰』さんからお借りしています。(←移転先をご存知の方がいらっしゃいましたら是非教えてください)