| 50 TITLES(11〜20) |
| 11 薄皮 |
「ねえ、頼久さん」 「はい?」 「今日さぁ」 「なんでしょうか?」 「ううん、なんでもない、おやすみ」 「いいんですか?」 「うん」 「おやすみなさい、あかね」 「おやすみ」 ---あのさあ、今日さぁ、私、今、気が付いたんだけどさ。 言わなかったよね、今日。 「お邪魔します」って。 |
| 12 街灯 |
平凡な一日の終わりを待っていてくれる人がいる。 |
| 13 抜け殻 |
ずっと、ずっと長いこと、あの方は私をからかっているのだと、 きっとそうに違いないと、思いこんでいましたが、そうではなかったと 今日、生まれて初めて知りました。 『信じられない、といった顔だね。ふっ、まあいいさ』 きっと、あの日、ひどく驚いた顔で、あの方を見つめていたのでしょう。 けれど、どうしても信じられなかったのです。 接吻が甘いだなんて、唇はあんなにも温かく、柔らかなものだとは。 ですから、いつものように、そう、いつものように。 ---私はからかわれているのだと。 知らなかったのです。本当に。 こんなにも、こんなにも・・・・嗚呼・・・ 「頼久さーん。おーい?だいじょーぶ?」 |
| 14 二人でいるということ |
思い出す暇もなく、 名を呼ぶ前に、ここに。 |
| 15 弔い |
声にならぬ全てで、剣を、抜く。 |
| 16 三人でいるということ |
「っ・・・くっ」 「ねえ、気持ちいい?ここ気持ちいいの?」 ---誕生日だから、と 自分からキスをして、下唇を軽く噛んで。 唇は首筋をつたって、そのまま胸に。 止めようとした手をとられて、その指先を爪先を まるで甘皮を歯で軽く扱くように。 小さな手が腰にまわされて・・・ 「あっ、あかねっ」 「ふふ。やっぱり気持ちいいんだ」 ---やっぱり?やっぱり? けれど、あなたの触れてくれる場所は、 いつも、あなたが、「嫌だ」という場所ばかり。 なのに、やっぱりだなんて。 「っ・・・あかねっ、きて」 ---私と、あなたと、そして、正直なもう一人のあなたとの夜。 |
| 17 空を飛ぶもの |
ヒカリに導かれる喜び ヒカリに包まれる温もり ヒカリしか見えぬ孤独 それでも、その彼方にあなたがいるならば。 |
| 18 壁 [アリオス×コレットです] |
こうして瞳を閉じると、あの日のことを思い出すの。 アリオス、あなたとは、いつかきっと会えるって信じてた。 これはほんの一時の別れなんだって。 新しい世界で 新しい生命で 必ず会えるって。 会いたいと、そう互いに願えることを、私わかってたわ。 そして、その時、次に会う時のあなたには 私の顔も、名前も、何ひとつ残っていないこともね。 だから、あなたの魂に刻んだのよ…白い翼を持つ者の記憶を。 そして、あなたは羽ばたき、宇宙の自由を知り 高い壁を越えて、私を迎えにきてくれた。強い光とともに。 ねえ、アリオス…私たち、再び出会えたのね… そうよ、こうして瞳を閉じれば今でも… 「おい」 …はい? 「おい、何一人で乙女チックやってんだ?」 「あっ、アリオス!!何よ、見てたのね!見てたんなら見てたって言いなさいよねっ」 「少しは落ち着けよ。でもまあ、見られてんのも気付かないなんて、相変わらずトロい奴だな」 「アリオスこそ相変わらず最高に失礼ね。今日は特別な日なんだからいいのっ!」 「あぁ?」 「むふん。だってだってアリオスのお誕生日じゃないッ」 「ちっ、くだらねぇ。俺は行くからな」 「あっ、あっ、待ってよアリオス。置いてかないでよー!!」 くだらねえ。 何が誕生日だ。馬鹿が。 何が、置いてかないでだ。 あれだけの壁を越えて、やっと掴んだってのに… ―そんなに簡単に手放すかよ… 「え?何?アリオスなんか言った?」 「いや」 「おかしいなぁ」 「おかしいのはお前の頭だろ」 ―壁の名は、レヴィアス・ラグナ・アルヴィース そして翼の名は、アンジェリーク…雪色の天使 「ねえ、アリオス、ケーキなんだけど、チーズとチョコどっちが好き?」 「知るかそんなこと」 「えーでも、アリオスの誕生日なんだよ。私の好きなほうにしちゃってもいいのぉ?」 「くだらねえ、勝手にしろ」 「いいですよー。勝手にするもん。じゃあね、いちごにしようっと」 「…………」 なあ、アンジェ、お前の世界は… くだらねえけど……まあ、悪くもねえな。 |
| 19 困った |
| あ・・・ 思わず腕時計で時間を確かめる。 大丈夫、まだ、12時45分。 約束は1時半。 大丈夫、まだ時間はたっぷりある。 そう、いつものように、30分前には着けるように家を出てきたのだから。 だったら、どうして? 時計が狂っているのだろうか? 最近、持ち始めたばかりの携帯電話で思わず 117 をプッシュする。 聞こえてくるのは、自分の腕と同じ時刻。 困った。 どんな顔で、歩いていけばいいのだろう。 なんて声をかければいいのだろう。 困った。 本当に困った。 だって ・・・あなたに待たれるなんて、初めてなのだから。 困った、手を伸ばせば届く距離にあなたがいる、私を待っている。 |
| 20 雨具 |
雨の日は、何故だかちょっぴり寂しい。 しとしと、しとしと、降り続く雨を見ると、途端にあの人が心配になった。 「これくらい大丈夫ですよ」 ・・・・・・そう言って出かけていったけど、本当かしらん。 玄関には傘が置きっ放し・・・雨の日は、どうしてだか、物悲しい。 ・・・・・・今頃、雨に濡れていないかな。迎えにいこうかな。 あの人は、寂しさに弱い人だから。私とおんなじで。 ・・・どちらも信じようとはしないけれど。 |