甘噛み
大きくて、そしてしっかりと骨を感じさせる頼久の手。
その手をゆっくりと握って、口元に持ってきて。
視線を絡ませれば、途端に彼の目は焦りと、そのくせ期待で輝く。

「み、神子殿……?」

掴んだその手に頬を寄せ、そっと口づけて、もう何度も何度も口づけて。
ひとさし指の付け根に、ゆっくりゆっくり回すように舌を這わせ。
舌先に力を入れてそこから指先に向かって舐め上げる。
頼久の視線が痛いほど身体中に刺さった。
指の腹に舌を押し当てて、歯を立てないように口に咥えた。
不意にそこから唇を離すと、「え……」っという顔の頼久が可愛かった。

だから、私は

「あなたの飼い犬はたまに手を噛むかもね」

そう言って、いつも私に夢を見させる、その手に
そっと、優しく歯を立てた。




――おわり